普段はそんなに集中して音楽を聴くことはなくて、何か他のことをしながらBGM的に流しています。
それが何かの拍子に、音楽そのものというよりはただ単にいい音が鳴っているなあと思う時があります。
例えばもう一杯だけ酒を飲んだら寝ようという時に、グラスを傾けながら部屋の明かりを落とし、音楽をかけたままぼんやりしていると、ちょうどその時の自分の心身の状態と音楽がピッタリと一致したようになることがあって、何か恍惚としたものを感じることがあります。
まるでコンサートホールにいるようなとか、あたかもボーカルが目の前に浮かび上がるようなというわけではありません。夜中に自宅で聴いているので、生演奏とは音量も違いますし、うちのオーディオ・システムではそんな大した音は出ません。
それでも音楽の内容と聴いている時間や空間、そして自分自身の状態がいい感じで整うと、まさに心を動かされる状態になります。
多分そういう経験がやみつきになり、人はオーディオマニアになるのでしょう。
うちのスピーカー
ハセヒロのMM-151SにPARC Audioの13cmウッドコーンスピーカーを付けています。
ハセヒロのサイトにはMM-151Sの適合ユニットとして一回り小さい10cmユニットのDCU-F121Wがあげられています。
買った時には10cmユニットよりも13cmの方が低音がしっかり出るだろうという考えで決めました。実際に聴き比べたわけではないので、10cmの方がよかったかどうかは判断できませんが、ユニットの本来の能力を発揮するにはエンクロージャーの容量が小さすぎてこもった音になっているのかなと思うこともあります。
いい方にとらえれば音が刺々しくなくて、聴き疲れしないとも言えます。一番合うのはアコースティックで小編成の演奏、コンボジャズのようなものだと思います。テクノとかはいまいち切れが悪くてのれない感じです。
音を良くするためにやったこと
もともと中高音域には大きな不満はありませんでした。ボーカルやサックスの音など、非常にリアルに聞こえて、はじめに書いた感動するような体験ができます。
低音が悩みどころで、モワモワしてウッドベースの音程が聞き取れなくてイライラすることがあります。
これを何とかするために試してみたことを書きます。
ケーブルを1mで1万円のやつに変えたというような面白い話ではなくて、ケーブルはAmazonベーシックのやつを使っています。
うちではスピーカーケーブルの他にHDMIケーブルもAmazonベーシックのやつを使っています。実用上十分な品質のものを低価格で入手できる、いいブランドだと思います。
吸音材を変えてみる
ハセヒロのエンクロージャーにはフェルトの吸音材が付属しています。最初はそのまま使っていましたが低音がぼやけるという悩みが明確になってきた後、確かどこかの掲示板にティーバッグを箱の中に吊るして吸音材にするのがいいということでしばらくやっていました。その時はそれで満足していました。
その後、再び低音の出方に満足ができなくなり調べたところ、PARC Audioの人がグラスウールを吸音材にするを推奨していました。
早速グラスウールを入手し、多少の違いでは聞き取れないのでユニットの裏の空気室いっぱいに詰め込んでみました。何日か聴いていて、確かに低音がぼやけるということはなくなりましたが、これはそもそも低音が全然出なくなっているのだということに気が付きました。最初から気づけよという話です。
低音の音量がそこそこ出て、かつぼやけない分量を試行錯誤で探しましたが、なかなかこれだというところが見つかりませんでした。
配線を間違えないようにする
ある日、じっくりと音楽を聴いていて、どうも左右のバランスが悪いという気がしました。スピーカーを開けて中を確認してみると、プラスとマイナスの配線を間違えていました。色々といじっているうちにやってしまったようです。
まずは根本的なところでミスをしないことが大切です。
アンプを変えてみる
アンプはずっと1万円のデジタルアンプを使っていました。
特にこのアンプに問題がある気はしなかったので使い続けていたのですが、テレビ視聴用にPCを買って、PCからワイヤレスで接続できるアンプが欲しくなり、買い換えました。
DENONのPMA-50というのを買ったのですが、これでかなり低音が安定したと思っています。
1万円のアンプは最初に買った時はパーカッションの高音がはっきり聞こえて感動したという経験があるのですが、PMA-50で同じ曲を聴いてみると、要するに不必要にその音域が強調されていただけだということがわかりました。PMA-50では必要な音はちゃんと聞こえるし、無駄に強調されたりしなくなりました。
これは低音についても同じことが言えて、一部分が過剰に強調されることがなくなり、バランスがよくなりました。
スピーカーを置く場所を変える
これが一番重要でした。
うちは壁際に本棚があって、その本棚の両脇に壁にほぼくっつけてスピーカーを置いていました。また、本棚は90cmのが3つ並んでいるので、3m弱の距離が右と左のスピーカーの間にあります。
オーディオのセッティング方法について書いたものを読むと、壁から離して設置しろということが必ず書いてあります。
ただ私としては、設置しているのは音楽を聴く専用の部屋ではなくリビングなので、スピーカーが壁から離れて部屋の中にしゃしゃり出てくるのは何だか納得がいきませんでした。
ただどうしても低音がちゃんと出るようにしたいという思いが高まり、スピーカーを本棚の前に持ってきました。そのまま何日か色々な音源を聴いていると、どうやら低音の輪郭がかなり明確になってきているようでした。その場所にスピーカーがあることに慣れてくると、部屋の中で邪魔だと感じることもなくなりました。
中高音は基本的にスピーカーからまっすぐ前に出ますが、低音は後ろにも同じくらい出ます。この仕組みを利用するのがバックロードホーンなわけですが、後ろに出た音が壁に反射して音がぼやけてしまっていたわけです。
ということで、ちゃんと壁から離してスピーカーを設置するというのが低音を安定させるポイントだったという、ごく初歩的なオーディオの話でした。
高級オーディオへの夢が広がる
壁から離してスピーカーを設置するのが基本中の基本なわけですが、LINNというメーカーのスピーカーは、部屋の状態やスピーカーの設置場所によって最適な音の出力バランスをソフトウェアで計算し、壁際などの条件の悪い場所へ設置しても、その部屋の中でのベストポジジョンに置いたのと同様な音が出せるそうです。
この技術(EXAKTというそうです)を使う前提として、ユニット分のアンプを内蔵した専用スピーカーが必要で、一番廉価なモデルでも140万円するようです。最上位機種は640万円です。
とても夢のある話だと思います。